人生の転機は、巡り合わせとタイミング
今年で、私が田吾作のオーナーになって21年目です。ずいぶん長くやってきました。もともと、飲食店を開業しようなんて夢をもっていたわけではありませんでした。30歳を過ぎたころに、働いていた会社が倒産して、「さて、これからどうしようか」って時に、田吾作を経営していた方から、お店を引き継がないかという話をいただいて。若いころに、飲食業にたずさわっていた時期があったので、渡りに船というか、そこで田吾作のオーナーになることに決めました。だから、本当に、巡り合わせというか、タイミングがよかったんでしょうね。
もともとすでに田吾作で働いているスタッフの人たちがいましたので、彼らからしたら、オーナーだけが外から入ってきたっていう感じだったと思います。そしてお客さんみたいに外から入って、少しづつお店に慣れていき、だんだん自分の色をだしていくようになりました。
人気メニュー
田吾作の目玉は、「4時間飲み放題1780円」です。お客さんはこれを目当てにして来店してくれます。
でも、飲み物が目玉だからといって、料理に手を抜くわけにはいきません。うちには、しっかりとした技術がある日本懐石の板前がいるので、季節感のある料理をだしたり、旬な食材を使いながら、他のお店との差別化を図っているつもりです。
店内も広いし、安くて美味しいものをだしているということを評価していただいて、お祝い事や法事などの団体で使っていただくお客さんもいます。
あと、人気メニューは、そばです。食感がよいということで人気があるんですよ。別に、田吾作のそばは、正直に言うと、そこまでそば粉の比率は高くないんですよ。だから、本当のそば好きの人が食べるそばではないのですけど、あえて、いまのそばを提供しています。
それから、ワニの串カツっていうメニューもあります。クロコダイルです。もの珍しさで注文される方も多いですね。臭みもなく、鶏肉のささみっぽくて食べやすいですよ。
田吾作は、別に変わったオリジナルドリンクもないし、「これ!」といったイチオシメニューがあるわけでもないし、ほんとうに普通の居酒屋さんです(笑)。
お店の特徴
私が田吾作を引き継いだころは、この宮原地区には大手チェーン店もなく、お店の営業をしていれば、それなりにお客さんが来てくれていた時代でした。ですが、私が引き継いで2年くらい経ったころから、大手チェーン店がこの地区にも進出してきて、昔からあった個人のお店はどんどん減っていきました。いまでは、この辺りでは、おそらく、田吾作が一番古い部類になるんじゃないでしょうか。
なんで長く続けてこれたのか、って言われると、よくわかりませんけど、全てのお客様のニーズにこたえることはできないので、自分たちが良いと思えることをやって、田吾作を選んでくれたお客さんを大切にしていきたいと思っています。田吾作を好んで来てくれている方が心地よいと感じていただけたらそれでいいです。
少し前、宴会の予約をしてくれた女の子が、席だけにしたらいいのか、料理も予約したほうがいいのかを訊いてきたんです。その時に、
「どっちでもいいですよ。すきなようにしてください」
って答えたんですよ。そしたら、「そのそっけなさがイイ」なんて言ってくれたりね(笑)。
これからの目標
いままでと変わらないとおもいますよ(笑)。転勤したお客さんが10年くらいして、また宮原に戻ってきて、田吾作に飲みに来てくれた時に、「ここは何も変わらないね」って言われるくらいです。「マスター変わらないねぇ。あ、でも、ひげが無くなったね」とか。
そんな会話をしていると、すごく嬉しいし、長くやってて良かったなって思います。お互いに歳はとってもなにも変わらない、っていう感覚が、私も心地よいですし、きっとお客さんもそれを心地よく思ってくれているのではないでしょうか。
「そういえば、田吾作ってまだやってるのかな」って思って店に来てくれたときに、昔と変わらないお店で迎えられたらいいですよね。あとは、お店のスタッフとの関係。20年前からのスタッフも、もういい年になっていますけど、結婚式に呼んでもらったりね。長くやっていれば、当たり前なのかもしれませんけどね。でも、いいお付き合いをさせてもらっているってことは、長くやってきたことの実りですよね。これからも、ずっと昔と変わらないお店で、スタッフとともにお客さんを迎えていけたらいいなと思います。
田吾作
〒331-0812 埼玉県さいたま市北区宮原町2-38-8
048-651-0907
JR高崎線 宮原駅 東口 徒歩5分
駐車場15台
営業時間
月・火・木・金
ランチ 11:30~14:00(L.O.13:30)
月・火・木~日
ディナー 17:00~24:00(L.O.23:30)
水曜定休日
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