夏の甲子園。
いま、三重県代表の津商業が甲子園を沸かせていますね。
試合後の校歌も全力で歌う。
応援も全力。
全てにおいて「全力」。
1塁コーチャーや3塁コーチャー、ベンチ、スタンドの応援団まで一緒になって戦っている姿は、2015年夏の甲子園に新しい風を吹かせています。
本当に素晴らしいと思います。
「このような」チームを作れたのは、指導者をはじめとするスタッフや選手自身のチームマネージメント力の賜物だと思います。
わたしは野球のことはそんなに詳しくありませんし、大した知識も経験もない人間ですが、これだけは言えます。
もし「このような」考え方が、顧問の先生単独の考えではなく、部として、チームとしてのアイデンティティーになっているとしたら、来年以降も確実に良いチームができることでしょう。
一人一人ができることを
実は私の息子が、同じポリシーのチームに、少しお世話になっていたことがありました。1年弱の短期間でしたが、このクラブに触れたこと、学んだことは、私にとっても、息子にとっても、大きなことだったと思っています。
そのチームの特徴一つは、
「選手は試合に出ていても出ていなくても、一人一人ができることを精一杯やる」
ということでした。
ベンチからの応援も全力。喜ぶのも悔しがるのも全力。
そうやって指導された子供たちは、週末になると、自分のコーチが全力を出しきっている姿を見るのです。試合中のプレーはもちろん、ベンチでの応援や声掛け、挨拶など細部にいたるまで常に全力を出している姿を。
コーチは、プレー面だけでなく、組織の中での振る舞い方、自分の活かし方や活かされ方まで、すべての面で子供たちの手本となっている訳です。
こういった教育的側面が強い環境で指導されているので、指導現場には、罵声も体罰も必要ありませんでした。
あったのは、子供たちの笑顔と真剣にフットボールに取り組む姿でした。
「このような」チームは、特別な選手がいなくても、チームの総合力があります。組織としてプラスアルファを生み出す力があるからです。
もしかしたら、特別な選手も中にはいたかもしれません。でも、誰一人として特別扱いする必要がない。みんながそれぞれの役割を「一所懸命」に頑張るわけです。挨拶一つに至るまで。
同時に、選手への評価基準もしっかりしていました。モチベーションマネジメントがうまくできているんですね。選手をうまく入れ替えて起用するので、「次は俺だ」っていうモチベーションが生まれる。すると、サブ組のモチベーションがやたらと高くなる。レギュラー組ではなく、サブ組に活気が生まれるんですよね。
すると、組織全体が強くなっていきます。
そうやって「組織が一体となったチーム」は、勝っても、負けても、まさに一心同体。
「このような」チームは、スポーツの力を広く世の中に知らせるパワーすらあると思うのです。
「このような」チームに対して、見ているものは感情移入し、応援したくなるのでしょうね。
校歌を全力で歌う意味
試合後の校歌を全力で歌うこと。
これが野球の強さと関係あるのか?
私はあると思います。これが強さの秘密だなんて言うと大袈裟に聞こえますが、私は、これができるチームは強いと思うんです。
そして、何より、そこで育った人間は、間違いなく、どんな組織でも力を発揮できます。そして、組織に良い影響を与えていけるはずです。
それは、生きていく上での力が、身につくということ。
スポーツで教育する、地域で教育するとは、こういうことなわけです。
いま一度、私たちの地域でも、このような組織力を作り出していけないものか、自分にできることから考えて行動していけたらと思います。
いつか、この地域から、強い組織力を持ったスポーツチームや、企業が生まれることを夢見て。