Kataru – 埼玉県で紡がれるストーリー

N・STYLE代表取締役 小沼貴光

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20代に都内でスタイリストとしての経験を積んだのちに、十数年前に地元の幸手市に念願のヘアサロンをオープン。現在は、幸手市内で2店舗のサロンを経営するとともに、美容師さんへのカットセミナー、大手メーカーの認定講師など、年間60回以上ものセミナー講師をつとめるなど、精力的に活動し続けている小沼貴光さん。

銀座のサロンでは、テレビ取材などでメディアにも取り上げられ、スタイリストとして活躍していた小沼さんが、埼玉県のはじっこの小さな街でサロンを経営する喜びはどこにあるのか?

新たな挑戦、スタッフやサロンへの愛情、そしてこの地でお客様との間に生まれる絆。

その喜びは、いずれも、東京では味わえないものでした。

美容の世界に入るきっかけ

若いころは、とにかく目立つことしか考えていなかったんですよね(笑)。
高校生のころ、テレビで、美容師さんが活躍する番組をみて、

「この世界なら、自分の腕ひとつで勝負していける!」

って思ったんですよ。いま考えれば、若気の至りってやつです(笑)。

ただ、実家がもともと化粧品屋だったんで、別に遠い世界じゃないし、なにより自分に向いているんじゃないかって思いました。

 

地元、幸手市に戻っての新たな挑戦

幸手市に戻ってきたのは29歳の頃でした。

私自身は、都内のサロンで経験を積んできましたが、テレビに出ようが、都内でたくさんお客さんがついていようが、地元に戻ってきたらまたイチからの再スタートだと思っていました。もちろん、都内で経験を積んできたことやメディアで取り上げていただいたことは、この小さな街では、多少は噂にもなっていたようなので、最初にお客様に興味を持っていただく上では役に立ったかもしれません。ですが、結局、美容の世界も、他の世界も同じだと思いますが、一度お店に足を運んでいただいたら、あとは、お客様に満足してもらえるかが一番大切なんです。そこで満足していただけなかったら、次に来店してもらえない。だから過去の経験とか知識とか有名かどうかなんて意味はないと思っていましたし、それこそ毎日が真剣勝負でしたね。

地元に戻ってからは、

「どうやったら、この小さな町で、東京のサロンさんのような一流のサロンになれるか」

を考えてきました。しかし、実際に直面したのは、

「女性スタッフが輝ける時間をどうやったら長くできるか」

ということでした。

美容業界では、駆け出しの新人がスタイリストになるまでには、3~5年かかるのが一般的です。それまでの間、朝早くから夜遅くまで頑張って、勉強して、技術を少しづつ身につけていき、やっとスタイリストになれるんです。でも、ずっと頑張って、やっとの思いでスタイリストになって、まさに「これから」という頃には、女性は結婚適齢期を迎えてしまうんです。美容の世界に入る前から憧れていた自分にやっとなれそうなとき、これから一番楽しくなってくるときに、結婚を機に一線から離れていってしまうことには、大きな疑問をもっていました。

そして、実践に出るまで3~5年かかるという今の美容業界の常識を覆して、1年後には実践で活躍できるようになったら、もっと女性スタッフが輝けるんじゃないかと思うようになったんです。

そんな考えを持ってからずっと試行錯誤しながら、1年でスタイリストになる理論と技術体系を考えだしました。その理論と方法を盛り込んでいるのが、今自分が行っているカット講習です。この理論と技術体系があれば、もっと女性が活躍できるんじゃないか、これからの美容業界の常識を変えられるんじゃないかと信じて頑張っています。

いまでこそ、だいぶ慣れましたが、セミナー講師を始めたころは、ほんとうに苦労しました。初めてセミナーの講師をしたのは、渋谷でのセミナーだったんですが、最初は本当にひどいもので、緊張してガチガチになって、噛んでばかりでした(笑)。でも、「慣れるしかない、やるしかない」って自分に言い聞かせて、とにかく場数を踏むことで慣れていったような気がします。

セミナーの内容も、自分なりに研究しました。セミナーってフワっとした内容のものや、求めていたものと違う内容だったってこと、よくあるじゃないですか。参加者が求めていた内容と違うものだったら、お金を払って参加していただく意味がないので、まずはじめは、自分自身がセミナー講習を受けることから始めました。

違うジャンルの講習をも受けながら、受講者の立場にたち、どんな情報が提供されたら、セミナーを受けて良かったと思えるのか、を徹底的に勉強したつもりです。自分がセミナーをやるとしたらこういう話し方で、こんな例を出したらもっと分かり易いだろうとか、参加しながらイメージを膨らませていきました。

だから、自分がカット講習を行うときは、参加する人たちの環境にも注意しながら講習していますね。華やかな都会のサロンと、地方のサロンでは、人の数も、住んでいる環境も、年齢層も、経済事情も、すべてが違う。だから、参加する人たちの環境を意識しながら、すこしでも、参加している方がイメージしやすいように注意しています。

 

美容における東京と埼玉の違い

埼玉という地域は、全国的にも少し特殊かもしれません。

埼玉は、東京に出て働いている人も多いので、東京の情報はすごく大事なんですが、少し違う点もあるんです。

東京と埼玉の違いは2つあると思っています。

お客様とのリアルな距離感、そして、その距離感ゆえに生まれる責任です。

私たちスタイリストの仕事は、お客様が日々素敵なSTYLEでいるためのサポートです。カットに来店してくれたお客様がその翌日に通勤する姿を駅前で見かけたり、休日にショッピングモールなどでバッタリ会うことも良くあるんですが、お客様の日々のSTYLEがリアルにみれるような近い距離感なので、当然、僕らが感じる責任は大きくなるんです。責任は、言い換えるとプレッシャーなのですが、そういったプレッシャーを味わいながら仕事をすることは、スタイリストとしてすごく有り難い環境です。

同時に、埼玉は東京に勤めている人が多いので、東京を歩いている素敵な女性をサポートしていくという意味では、埼玉にいながら、東京のスタイリストと同じ目線も必要です。自分達の作るSTYLEが、お客様が日々頑張っている仕事や私生活のサポートをできるというのも、埼玉のサロンで働く魅力かも知れませんね。

また、お客様のライフイベントに関わり続けていける距離感もここ埼玉ならではの醍醐味です。小さな頃から担当しているお客様が、東京に勤めだし、結婚していく。その間、卒業式、成人式、結婚式と、お客様のライフイベントに関わることができる距離感。これはここ埼玉じゃなかったら味わえなかったことだと思っています

最近は、埼玉のサロンさんから直接依頼を受けて講習をさせていただくことも増えてきました。
徐々にですが、埼玉県でサロンを経営していくということは、東京で経営することとは少し違うんだということに、経営者の方が気付いてきたのかもしれません。

いま、テレビを見ていても、埼玉特集が多くなってきていますよね。自分たちが住む埼玉県の特徴を、もっと意識していけたらいいですよね。埼玉って、これから、面白いんじゃないですか。もっともっと埼玉が盛り上がっていくといいなと思います。

 

これからの目標

埼玉のはじっこのちょっと田舎なところですが、頑張って夢みるスタッフ達と家族のような関係をつくっていきたいと思っています。

サロンをオープンして15年。過去に一緒に頑張ってくれていたスタッフが子育てがひと段落して戻ってきてくれたり、東京に出て行ったスタッフが戻りたいといってくれたり、結婚して辞めたスタッフ達がお客様として来店してくれたり、お酒を飲みに誘ってくれたり。自分が考えていた家族っぽさが少しずつ現実になってきました。

新しい店舗のBelleは、女性だけのトータルビューティーサロンとして展開してるんですが、過去に関わってくれたスタッフが、パートでも戻れるような労働環境を用意するなどして工夫しています。こういった工夫をさらにおこなっていって、もっともっとファミリー感を強めていきたいです。

さらに、自分自身の課題ですが、サロンとこのサロンに関わるスタッフがやりがいに満ちていくように、頼れる男、頼れるサロンのオヤジになりたいですね。そのためにも、これからも勉強して、スタッフにもたくさんの刺激を与えられるような人間になっていきたいです。

スタッフが活躍できる環境を整えていきたいし、私も手本とならなくてはなりませんし、同時に、経営者として、スタッフに喜びや刺激を与えていきたいと思っています。

 

Frays

〒340-0115
埼玉県幸手市中1-1-21
0480-40-5380
営業時間
10:00~20:30
定休日
火曜日/第1月曜日

 

Belle

〒340-0115
埼玉県幸手市中1-7-40
0480-43-7756
営業時間
9:30~19:30
定休日
火曜日/第1・3月曜日

 

ホームページ
http://www.n-style-jp.com/

編集後記

埼玉県は、都会も田舎も感じれる場所。そして、少子高齢化の波が押し寄せている地域。そんな地域において、女性が活躍できる場を提供し、労働力を確保していくことは、とても重要な課題。

埼玉という土地柄を理解し、デメリットをメリットとして仕事に生かそうとする。同時に、女性が活躍できる時間軸を考え直すことで、女性に大きなチャンスを生み出す。

小沼さんは、美容の世界における課題に取り組み、結果的に、大きな雇用創出の機会すら生み出そうとしている。この手法は、実は、この地域の経営者の方にとっても、行政にとっても、大きなヒントになる可能性があるのではないか。

インタビュー中、小沼さんのお客様、スタッフ、店に対する想いがひしひしと伝わってきた。そして、この想いが小沼さんの行動やアイデアの原動力になっている。

小沼さんのような経営者が増えていけば、地域の雇用はもっともっと創出されていき、輝く女性がもっと増えていくのではないだろうか。

 

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みせ💚あい」とは、お店のオーナー様や店員様が、自らのおへの想いや情などを、写真とエピソードで紹介するkataruの企画シリーズです。掲載をご希望の場合はこちらから

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