Kataru – 埼玉県で紡がれるストーリー

KUBIRE代表 矢野 剛敏

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KUBIREという健康体操教室を展開する矢野剛敏さん。12年前にはじめた体操教室の会員は、今では登録者数で3000人を超えるという。この地域の健康を支えている矢野さんに、KUBIREを展開するに至った経緯、健康に対する考え方を伺いました。

KUBIREをはじめたきっかけ

僕はもともとは、久喜市で治療院を開いていました。それなりの数の患者さんも来院してくれていたと思います。ですが、ちょうど僕が開業して少し経ったくらいから、スーパー銭湯が流行りだしました。スーパー銭湯は、整体院やマッサージ店なども入った複合施設であることが多いと思いますが、そのスーパー銭湯が自分の治療院の近くにできるという話が聞こえてきたんです。

1日1500人以上集客する施設が近くにできたら、僕らみたいな小さな治療院が、どう頑張っても、ジリ貧になるのはわかっていました。今後どうしていったらいいか、しばらく悩んでいましたが、とあるとき、みんなが集まって体操をして体を動かすような活動をしているサークルをみて、健康を促進するような新しい取り組みができないかなと思い付きました。それからですね、真剣に体操教室のような形態を考えるようになったのは。

そんな些細なきっかけで体操教室をはじめることにしたのですが、はじめは、いまとは全然違う形の体操でした。僕は空手をやっていたので、当時の空手の技術と、治療院の整体とか健康の知識を組み合わせた健康促進するような体操を作っていったのです。

だいぶ試行錯誤して、1~2年くらいかけましたかね、やっとのことで10個ほどの体操プログラムを作って、開いている治療院でその体操をやり始めました。最初は、右も左もわからないので、試行錯誤の連続。公民館をおさえて、チラシ撒いて。でも、なにせ初めてのことばかりなので、借り方のルールすら守ってなかったのです。団体登録もしてないのに勝手に公民館の名前を出してチラシ撒いちゃったり(笑)。

もちろん、公民館の方に怒られました。僕も全くルールを知らなかったので、どうにかして借りれないか、押し問答をしましたが、結局借りれず、自分が開いている治療院で行うしかありませんでした。

そうやって初めての体操教室に集まった会員さんは、たったの8人(笑)。もう12年も前のことです。教え方も、いまとは全然違って、空手の稽古のように号令をかけながら。結構厳しいことも言ってビシビシやってました。だから、会員さんも大変だったと思います(笑)。すると、会員さんがだんだん減っていくんですよね。8人しかいないのに、1人減り、2人減り・・・。ゼロにならないうちになんとかしなきゃイカンなと。もちろんチラシを撒いたりもしましたが、そもそも根本的にやり方を変えなきゃいけないなって思いました。そこで教え方を柔らかくしてみたり、ホワイトボードを使って、簡単な講義をして知識をつけてもらうようにしたり。

僕はもともと、しゃべるのが大の苦手だったんで、しゃべるのには苦労しました。でも、苦手だとか言っていられる状況じゃないし、もうしゃべるしか選択肢がなかったですね。それこそ、変な汗をかきながら、ちょっとずつしゃべっていくようにしました。

いまは昔に比べてだいぶ喋るようになったんですが、学生時代の友人に会うと、いつもビックリされます(笑)。

医療・健康に対する考え方の変化

同時に、治療院を経営しながら、自分自身の考え方も変わっていきました。今までの医療というのは、身体の調子が悪くなったら医者に行くという、受け身の医療サービスは提供されていたわけです。でも、本来、風邪をひくのも、腰を痛くするのも、自分自身の生活に原因があるわけです。それなのに、そこにフォーカスされることがあまりなく、調子が悪くなったら病院に行って施術をうけて薬をもらって帰るだけの医療サービスには疑問を抱いていました。

私自身も治療院で患者さんを診ながら、
「患者さん自身がもっと考えて、もっと勉強して、トレーニングしないと、良くなるわけないな」
と感じていました。自分の健康の事に対して、もっと主体的にならないといけないんじゃないかって。

治療院というのは、誤解を恐れずに言えば、自分の技術や知識をつかって、お客様を囲っているわけです。でも、自分もこのまま治療院をやっていたら、受け身の医療サービスを提供しているだけで、何も変わらない。だったら、地域の方々が、主体的に健康を考えられる、そういう場所を作ればいいんだ、という発想になりました。私自身が治療することを主にするのではなく、自分の知識や技術を教えてしまえばいいんじゃないかと考えるようになったんです。

たしかに、技術流出になりますし、患者さんに治療院にきてもらえなくなるかもしれないので、最初は迷いました。でも、よく考えてみたんですが、僕が1人で患者さんを診ても、たかだか知れているわけです。それより、自分の持っている知識や技術を広めたほうが、より社会貢献になるって考えたんですね。自分の持っている整体の技術も知識もみんなにあげてしまう。すると、今度は教わったその人が、自分の家族にやってあげるだけで、そこからまた4人5人と広がっていく。自分の利益にしがみつくよりも、大きな社会貢献に繋がるっていうことに気づいたのです。それまでの自分は、「いまの医療システムでは、人々を健康にすることはできない」って言っているくせに、治療院で患者さんからお金をもらって生活していたわけです。そんな医療システムにしがみついていた自分に矛盾を感じていましたが、すべて吹っ切れました。そして、整体はすべて無料にすることを目標として、体操教室を展開していきました。

体操教室は、最初は体操だけだったのですが、そのころから、体操の後に簡単な講義を行って知識をつけてもらい、最後に2人組で整体をするという、いまのKUBIREの原型ができあがっていったように思います。

体操教室の拡大

最初のうちは、自分も生活していかなくてはいけないので、治療院で患者さんからお金をいただきながら、体操教室をつづけていきました。体操教室で自分の技術を皆さんに提供しつつ、会員さんが調子が悪くなった場合は、そこでもお金を頂いて。

しばらくすると、だんだん会員さんが増えてきて、自分の治療院で体操教室をするのが狭くなってきたので、今度はちゃんと手続きをして、近くの公民館を借りて実施するようになりました。週に実施する回数も徐々に増やしていきましたが、いただく会費は変えませんでした。健康に休みはないので、週に1回でも2回でも3回でも、いつでも体操教室に参加してよいというルールにしたかったので。そして、この料金形態は、いまでもKUBIREの特徴の一つになっています。

体操教室をやっている間は、治療院は締めなくてはなりませんよね。体操教室の数を増やしても、会員さんの数が変わらなければ、入ってくるお金は変わらないわけです。だから、このころが一番大変でしたが、夜に往診するなどして生活費を得ながら、教室の数を増やしていきました。すると、最初は久喜だけで教室を展開していたのが、だんだん人も増え、幸手、杉戸、宮代、岩槻と実施するエリアもふえていきました。

はじめのころは、時間のある主婦の方が会員になってくれていたんですが、しばらくすると、本当に体の調子が悪い方が来るようになってきました。当時は、調子が悪くなったら誰かに治してもらおうという発想の方がほとんどだったんです。そんな中で、自分の身体は自分で治すという発想が珍しかったんでしょうね。口コミで広がって、どんどん体の調子が悪い方がKUBIREに来るようになりました。

整体のほうも、治療院に来る方には格安で治療できるようになり、体操教室で簡単に治療できてしまう程度の場合は、会員さんには無料で治療を施しながら、徐々に治療を無料化していきました。そして、2010年でしたかね。念願だった治療の完全無料化ができるようになりました。だから、今は、治療院はもうありません。

ヨガとの違いについて

よく会員さんは、友達から何をやっているか聞かれると「ヨガみたいなやつ」っていうようです。やっていることだけをみると、ヨガとKUBIREの違いはなかなか分かりにくいかなと思いますが、もともとの目的が違います。

ヨガっていうのは、もともとの歴史をたどれば、インドの僧侶たちが、心身を鍛える苦行を通じて、精神を統一して悟りを開こうとするものです。だから、岩の上に立ってみたり、足を頭の上に回してみたりしていると思います。それが、いつのときか、ヨガが健康にいいということを誰かが広めたんでしょうね。それが一般の人に伝わり、女優さんたちがやっているということでスタイリッシュなイメージがついたりしてブームに火がついていったわけです。だから、その形が何に効くのか、という視点よりも、イメージ先行で広まっていった感があります。

一方、KUBIREの場合は、健康のために作られた健康体操です。たとえば、「肩こりを治すために、肩の筋肉をここやって動かしてみよう」とか、「腰痛を緩和するために、ここの筋肉を動かして強化しよう」といったように、体操ひとつひとつに意味を持たせたものがKUBIREの体操なんです。だから、動きが少し変わっていて、結局、何と説明していいかわからないから、会員さんはみんな「ヨガみたいなやつ」っていうんでしょうね。

KUBIREという組織の力

僕らの組織には、いま、インストラクターをはじめスタッフが11人います。特にインストラクターの育成は、はじめから考えていました。この体操教室を始めたときから、1人じゃ絶対無理だなと思っていたので。そしてそのスタッフがKUBIREを支えてくれています。

現在、アクティブに教室に通ってくれている会員さんが1000人以上いるんですが、いい人が多いせいか、おかげさまで、本当にトラブルがないんですね。会員さんは女子しかいないので、人間関係のトラブルが多いように思われがちですが、本当に何もない。会員さんもスタッフも、僕によく意見を言ってきてくれますし、よく怒られたりもしますけどね(笑)。

でも、僕は、自分がやっていることが間違っていることに気づいたらすぐにやり方を変えちゃうんです。自分の考えより良い考えだったら、すぐに取り入れちゃう。なぜかというと、「いまよりも会員さんのためになるかどうか」ということだけが僕の唯一の大切な基準だからです。

僕はこの3000人の組織で唯一の男なんですが、遠くのビジョンをみることは得意でも、周りがよく見えていないときがあるんです。だからスタッフさんや会員さんの意見はすごく大事です。

「先生、ああいう態度はだめだよ」とか、「いまの言い方は少し冷たいんじゃない」って言ってもらうと、反省してすぐに変えようとします。だから、争うということが全くないんです。あくまでも基準は、「会員さんのためになるかどうか」だけなので。

組織の代表者になると、自分の組織だという意識が強くて、「そんなに自分のやり方が気に入らないなら辞めてくれていい」っていうことになってしまいがちですよね。僕の場合は、組織のトップというのは、「いかに下にいるか」だと思っています。ピラミッド構造の組織はちょっと間違った形だなと。一番上に見下ろすように組織のトップとして自分がいて、一番下に会員さんが支えているというのは、ちょっと違うなと。だからスタッフミーティングの時もよく言うんですが、「ピラミッドは回らない。でも、われわれはコマのように回ってなきゃいけない。そのコマの一番下の軸は僕で、その周りをスタッフがガッチリ固めるんだ」と。軸とその周りがガッチリ結束していないと、会員さんが乗れないわけです。その会員さんが増え、遠心力が強くなるほどに、軸・芯がしっかりしていないといけない。それがKUBIREという組織の考え方です。まあ、そんな考え方は、本にたくさん書いてあるんですけどね。要はそれをできるかどうかだけの話です。

今後の目標

いまは、1か月に、1000人強の会員さんがKUBIREに参加してくれています。今後の目標は、1か月に3000人が参加してくれるような教室にすることがですね。お医者さんは病気のプロフェッショナルかもしれませんが、地域の健康を支えるうえでは、僕らのような人間が健康のプロフェッショナルでいなければいけないと思っています。

 

KUBIRE

埼玉県の白岡・久喜・幸手・杉戸・蓮田・岩槻・加須・春日部・宮代・松伏、茨城県の五霞、千葉県の関宿にて、女性の健康と美容のためにC&Bプログラム(くびれ体操)を教えている。綺麗なくびれボディーを作るためのオリジナルプログラムを、解剖学・運動学を基に作りだし、整体の知識と技術を皆さんにわかりやすく説明し、自宅でも出来るようにしている。

KUBIREの教室は、どこに何回通ってもOK。かつ会費はリーズナブルな定額制とのこと。ぜひお近くの教室までぜひ足を運んでみてください。

【お問い合わせ】
健康体操連盟KUBIRE事務局:0480-53-4878

【時間】

月曜 10:00白岡・菖蒲・岩槻・春日部・加須/13:20鷲宮/14:00白岡/19:00春日部

火曜 10:00久喜・鷲宮・杉戸・松伏・庄和/19:00杉戸・白岡

水曜 10:00幸手・白岡・幸手北・騎西/13:20庄和/14:00幸手

木曜 10:00久喜・五霞・春日部・菖蒲・大利根/13:20騎西/14:00蓮田・春日部/19:00杉戸・白岡

金曜 10:00岩槻・宮代・蓮田・栗橋・関宿・松伏/14:00久喜・加須・杉戸/19:00春日部

土曜 10:00杉戸・菖蒲

※毎月1回地域持ち回りでTEATE教室

※1回無料体験あり。

編集後記

矢野さんと会話して、最初に感じたことは、自然体だということ。余計なモノが削げ落ちていて、シンプルに、そして自分に正直に、相手に敬意を持って人と接する。大きな組織のトップであることのおごりや傲慢さは一切ないその人格は、まさに矢野さんの徳。矢野さんのもつ徳が、どこまで組織を大きく成長させていくのか。そしてどこまでこの地域の健康を広く支えていってくれるのか。これからの活躍を楽しみにしたい。

 

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